「ハチミツってまずいんだよね」「ハチミツって苦手」などという声を聞くことがあります。養蜂家にとってはちょっと悲しい気持ちにもなるのですが、なぜハチミツをまずいと思うっているのか?を考えてみるのも面白いと思ったので、考察をしていきたいと思います。
また、考察だけではつまらないので、まずいと思ったハチミツの活用方法も併せてお伝えしていきますね。
ハチミツをまずいと思う理由
ハチミツがまずい!という方は、なぜそう思うのか。催事や店頭でのお客様との会話や、アンケートの内容を振り返ってみると、2つ理由が見つかりましたので、それぞれ解説していきたいと思います。
質が悪いハチミツを食べている
まずは、質の悪いハチミツはどんなものか?僕が考える2つの定義をご紹介します。
- はちみつ特有の風味がない
- 後味の悪い甘さ
■はちみつ特有の風味がない
ハチミツは花ごとに風味が違います。ハーブのような風味だったり、フルーティーだったり。それこそがハチミツの美味しさの要なのですが、質の悪いハチミツは風味がとても悪く美味しくありません。
■後味の悪い甘さ
ハチミツの甘さは濃いものからアッサリしたものまで様々ですが、いずれも自然の優しい甘さです。質の悪いハチミツは、どれも後味が悪い不自然な甘さを感じます。
これら質の悪い、まずいハチミツは『加熱』が原因で起こります。何のために加熱するのかというと、生産効率を上げるためです。
ハチミツは働きバチが集めてきたばかりの時は、20~40度ほどの糖度しかありません。ミツバチたちは糖度の低い蜜を羽で仰ぎながら、風を送り水分を蒸発させて糖度を上げています。
ただ、一部の海外の養蜂業者は糖度が低い蜜を搾り加熱することで、水分を蒸発させて糖度を上げるのです。
水分が蒸発するほどの熱を加えると、ハチミツ特有の風味がなくなり後味の悪い糖蜜のようなものになってしまいます。
そのようなハチミツは一般的にはスーパーなどの量販店で売られています。
家族内でも起こる味覚の違い
味覚って千差万別ですよね。これは、ハチミツにも言えます。
ハチミツを販売していると、よくあるのですが。買い物をしに来てくれたご家族の中で、親御さんはホワイトクローバー蜜が良いと言い、お子さんがアカシア蜜が良い。どちらにするか家族会議が始まるのです。
これは、家族に限ったことじゃなくご夫婦や恋人同士の間でもよくあります。
■味覚な敏感なお客様の場合
自社の商品の事を悪くいうみたいで、この例を出すか迷ったのですが、わかりやすいのであえてお伝えします。
弊社の商品の中に『とち蜜』があります。秋田で採っているハチミツで、甘味が強のに食べやすいのですがとち蜜に対して年に1回くらいお客様からご意見をいただくことがあります。
それは、「ハチミツが臭い」と言うもの。
確かに、多少は風味はありますが販売している僕たちでも臭いと思ったことはないので、初めてとち蜜が臭いと言われたときは戸惑いました。また、ご意見をもらった後に食べてみても臭いとは思わなかったのです。
ハチミツは、花によって様々な風味がありますので全てが自分に合う味ではない。これは、個人差がある限りどうしようもない事だと言えます。
「ハチミツってまずい」と、あなたが思っているのであれば、ぜひ他のはちみつにチャレンジしてみて欲しいです。もしかしたら、突然ハチミツ好きになっちゃうほど美味しいものに出会えるかもしれませんよ。
あっ、そうそう。低価格で気軽にはちみつチャレンジできる。こんな商品もありますよ。
まずいハチミツとさよなら?品質の良いハチミツを見つけるポイント
とにかく、まずいハチミツは出来れば食べたくない。という方も居ると思います。そんな、あなたに贈る。まずいハチミツを避ける方法を3つお伝えしますね。
安価なハチミツはまずいことが多い
まずは、シンプルに価格です。スーパーなどの量販店でよく見かける1kg1,000円ちょっとの激安ハチミツ。これは、先ほどハチミツの質のお話で出てきたように、加熱して水分を蒸発させている可能性があります。
量販店では、流通させるために量が必要になります。通常のハチミツの採り方では、流通量をカバーすることができませんし、価格も一般的な養蜂場の価格では販売するのが難しいため、糖度が低い蜜を加熱して大量生産を行っている業者から輸入していることが多いのです。
『純粋』や『天然』の文字が大事
ハチミツに関する基準として以下のようなものがあります。
公正競争規約における「はちみつ」とは、みつばちが植物の花蜜、植物の分泌物又は同分泌物を吸った他の昆虫の排出物を集め、巣に貯え、熟成した天然の甘味物質であって、特定の性状(特有の香味)を有し、また、別に定める組成基準に適合したものです。
出典元:はちみつ公正取引委員会規約 https://honeykoutori.or.jp/rule/
また、混ざりもののないハチミツにだけ『純粋』の文字を使うように定めています。
4 特定事項の表示基準(規約第4条)
(1)純粋等(規約第4条第1項第1号)
「純粋」、「天然」、「生」、「完熟」、「ピュア」、「ナチュラル」、「Pure」、「Natural」その他これらと類似の意味内容を表す文言を表示する場合には、「純粋」又は「Pure」という文言のみを使用します。他の「天然」、「生」などの用語は使用できません。
*「純粋」、「PURE」とは、はちみつ類以外のものが混入していないことです。はちみつ類に他のものを混入した商品に「純粋」「PURE」を表示することを禁止しています。
*現在、「天然」、「生」、「完熟」の解禁について検討中です。
出典元:はちみつ公正取引委員会規約 https://honeykoutori.or.jp/rule/
さらに、日本養蜂協会でも以下のような定義があります。
第3条 この規格において「国産天然はちみつ」とは、その全てを国内において、みつばちの巣箱より採蜜し、濾過しただけの人工を加えないものをいう。
出典元:日本養蜂協会ハチミツ品質規格 https://www.beekeeping.or.jp/products/standard
あくまで所属会員に対する規約的なものなのですが多くの養蜂場やハチミツ販売をしている所では、どちらかの団体に所属しているので品質の良いハチミツを選ぶ基準の一つとして、『純粋』や『天然』という文字は、役立ちます。
自分のハチミツについて語れるのか
個人的には、これが一番大事だと思っているのが養蜂家や販売者が自社のハチミツについて語れるのか?という事です。ただ商品としてハチミツの生産や販売しているところは、効率や利益を重視してしまう傾向があるように思えます。
ですが、お客様に良いハチミツを届けたい!と考えている養蜂家や販売者は、手間をかけてでもその想いを形にします。弊社でいうと少群採蜜法だったり抗生物質不使用だったり。
■少群採蜜法とは?
弊社が独自で行っている採蜜法です。 そこで、太田養蜂場ではミツバチの箱をあえて少なく設置して可能な限り、働きバチたちがアカシアに通えるようにしています。 この採蜜方法を弊社では、少群採蜜法と呼んでおります。 |
僕が大好きな山口県の廣田養蜂場では、生産したハチミツを巣箱の中と同じ温度にしてた保温庫に入れて保管・熟成しています。
このような、取り組みを行っている養蜂場では自分たちのハチミツに絶対の自信を持っていますので、自分たちの取り組みをお客様に積極的に発信しています。
もし、あなたがハチミツを購入するときに養蜂家や販売者にこう聞いてください。
『あなたのハチミツの特徴はなんですか?』
この質問に納得できる答えを出してくれる所のハチミツは間違いないですので、購入するときには聞いてみてくださいね。
ハチミツがまずかった時の対処方法
あなたが購入したハチミツの中で、どうしても口に合わない。まずくて食べられない。というものがありましたら、次のような使い方をすると使い切ることができますよ。
調味料として割り切ってつかう
ハチミツは、ほんの少し使うだけでコクを出してくれます。ですので、煮物やカレーなどを作るときに小さじ1杯くらい入れたり、ケチャップやマヨネーズなどに、小さじの先に少しだけで良いので加えると、より美味しくなります。
■カレーにハチミツを入れる時の注意点
カレーにハチミツを入れると、よくあるのがとろみが無くなってしまう問題。なんでだろうって思っていませんか?
実は、ハチミツを入れるタイミングによってとろみが無くなるかどうかが決まります。とろみを残すには、カレールー投入前にハチミツを入れてしっかりと煮込んでください。
なぜ、そのタイミングかというとハチミツにはグルテンを分解する作用があるからです。グルテンはとろみを付ける役割がありますので、分解してしまうと当然とろみが消えてしまうのです。
良く煮込むのはハチミツに含まれる分解酵素を壊すためです。だいたい20分ほど煮込んでくださいね。
■ハチミツを調味料として使う注意点
ハチミツは砂糖の3倍相当の甘さがありますので、入れすぎてしまうと甘くなりすぎたり、ハチミツの風味が出すぎてお料理を台無しにしてしまいます。
ですので、使うときは少しずつが鉄則です。
まずいハチミツをビューティーに活用
ハチミツを基礎化粧品として活用する方がいるくらい美容に良い効果を発揮します。ここでは、美容品としてのハチミツの使い方をご紹介します。
特に、お風呂はハチミツが大活躍する場所なのです。例えば以下のような使い方ができます。
〇はちみつ入浴剤
はちみつ大さじ2杯と好きなアロマオイル2~3滴を混ぜ合わせてお風呂に入れて溶かすだけです。
はちみつの保湿効果で湯上りしっとり。
※循環式や追い炊きができるお風呂は、雑菌やカビ繁殖の原因になる可能性があるので、おススメしません。
〇もちもち洗顔
洗顔フォームにはちみつを少量加えるだけで、もちもちできめ細かい泡が作れます。洗いあがりもサッパリですよ。
ちなみに、シャンプーやボディーソープに入れても同じような効果があります。
〇トリートメント
ハチミツの保湿効果を利用したトリートメント。洗髪後に水でかるく薄めたハチミツを適量塗ってからタオルなどを巻いて10~15分おいた後、洗い流します。
髪がつややかになりますよ。
〇はちみつパック
洗顔後、顔が濡れたままハチミツを薄く塗った後、空気穴を作ったラップを顔に張り10分ほどおいておきます。
すると、肌が触りたくなるほどモチモチしますよ。
4つほど例をあげましたが、美容用品としてハチミツは活用できますので、食べたはちみつが不味いと思ったら試してみてくださいね。
〇〇漬けに使う
柑橘類などの果物のはちみつ漬けに使うのも良いです。
果物どをハチミツに漬けることで、はちみつにその果物の香りが移るためハチミツ自体のまずさが気にならなくなります。
例として、レモンのはちみつ漬けを紹介しますね。
〇レモンのはちみつ漬け
用意するもの:はちみつ200g・レモン1個
1:タッパーや瓶などを消毒しておく(タッパーは除菌スプレー・瓶が煮沸消毒)
2:レモンをよく洗い、皮をむいて薄切りにする。この時にレモンの端っこは使用しない。
3:保存容器にハチミツ⇒レモン⇒ハチミツ⇒レモン・・・の順番で入れていく。広めの容器はレモンを数枚を敷いていくイメージで。
4:ふたを閉めて冷蔵庫で3日ほど置く
5:レモンがしんなりしていれば食べ時。
そのまま食べても良いですし、レモンの香りたっぷりのハチミツをお湯に溶かしたり、ヨーグルトに入れたりと楽しむ事ができますよ。
このように、まずいハチミツを活用する方法はたくさんあるので、試してみてくださいね。
ハチミツってまずいよね!というあなたに読んでほしい記事です。のまとめ
今回は、ハチミツがまずいというテーマでお話してきましたが、いかがだったでしょうか。
内容をまとめると。
ハチミツがまずいと思う原因として以下の2つがありました。
〇品質の悪いハチミツを食べてしまった
〇自分の味覚と合っていなかった
また、まずいハチミツを選んでしまわないように質の良いハチミを選ぶためのポイントもお話しました。
〇1㎏1,000円などのような安価なハチミツは選ばない
〇混ぜものをしていない証拠 『天然』『純粋』と付いているハチミツを選ぶ
〇自社のハチミツの良さを語れる養蜂家や販売者から購入する
という3つでした。
最後に、まずいハチミツを選んでしまった時の対処法3つご紹介しました
〇少量づつ調味料として使う
〇ビューティー用品として使う
〇はちみつ漬けを作る
この記事で、あなたはまずいハチミツを選ぶ事が少なくなりますし、もし不味いと思うようなハチミツに出会ったとしても、捨てるという選択肢は無くなりましたね。
今回の記事があなたのお役に立ちましたらうれしいです。
では、本日は以上になります。
いつも、最後まで読んでいただきありがとうございます。